深夜営業するときの届け出と注意すべきこと

夜の街並みによる深夜営業のイメージイラスト
一定の条件に該当する飲食店が、深夜0時以降も営業を行う場合、「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届」を警察署に届け出なければなりません。当記事では、深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届とはどのような場合に必要があるのか、またどのように届け出ればよいのかを解説していきます。

深夜営業の規定と届け出について

深夜営業とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下風営法)」で、深夜(午前0時から午前6時)に酒類をメインとして提供する飲食店が営業を行うことを指します。酒類をメインにしているのか否かで、「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届」を警察署(公安委員会)に届け出る必要があるのかが決まってきます。

 

深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届が必要か否かは下記で判断します。

 

深夜(午前0時から午前6時)営業を行うのか

メインとして酒類を提供しているのか

 

例えば、ファミリーレストランでもお酒を扱っているところが大半ですが、ファミリーレストランの場合は提供するサービスのメインは明らかにお酒ではなく食事なので、例え午前0時以降も営業しているとしても、深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届は不要です。

 

ここで疑問になるのは、酒類の取扱い種類が多いレストランや寿司屋などの分類についてです。このように、酒類をメインとしているかどうかが判断しにくい飲食店の場合は、届け出が必要かを直接警察署(公安委員会)に問い合わせるようにしましょう。もしも届け出をせずに深夜に酒類提供飲食店営業を行った場合、風営法第34条の規定により50万円以下の罰金が科せられます。また、届出書の記載が虚偽であった場合も同様の罰則となるので、自己判断での線引きは絶対にやめましょう。

 

深夜営業の届け出の際に準備すべき書類は、以下の通りです。

 

深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書

営業の方法(を記載した書類)

営業所の平面図(求積図、照明・音響設備図)

飲食店営業許可書

営業所に係る賃貸借契約書(賃貸店舗の場合)

本籍記載の住民票の写し(外国人の場合は国籍記載のもの。法人の場合は役員全員分)

本籍地の市区町村長が発行する身分証明書

成年後見登記制度での登記がされていないことの証明書

誓約書(内容は管轄警察署に確認のこと)

 

上記の書類をもって、営業所の所在地を管轄する警察署(公安委員会)に届け出ます。届け出書類一式が受理されれば、10日後から深夜営業を行えます。届け出書類に不備があると受理は見送られ、修正や追加書類の準備などをした上で、再度提出することになります。こうなると余分な日数を過ごしてしまい、予定の店舗オープンなどに間に合わないかもしれません。書類は事業主自身が一人で準備をするには難しいものもあるので、費用はかかりますが、専門家(行政書士)に相談するとスムーズにいくでしょう。また、個人と法人とでは準備書類に違いがありますし、所轄警察署ごとに細部が異なる場合もあるので、必ず事前に必要書類内容を確認するようにしましょう。

深夜営業で守るべきこと

深夜営業には守るべき規定があることを表したイメージ画像

深夜営業では、風営法の定めによりやらなければならないことがあります。これらに違反すると罰則を課されることになりますから、よく理解して遵守することが求められます。以下に主な守るべきことを記します。

 

【店の構造、設備基準に従う】

・客室の床面積を9.5平方メートル以上とする(客室が1室の場合を除く)

・客室に見通しを妨げるような高さ1m以上のつい立てや仕切り等の設備を設けない

・善良な風俗または風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾、その他の設備を設けない

・店内の照度が20ルクス以下とならないようにする(調光器付き照明は要注意)

 

【従業者名簿を作成・保管する】

〈従業者名簿の記載事項〉

・氏名・住所・性別・生年月日・本籍とその確認年月日

・従事する業務の内容

・採用年月日、退職年月日

 

従業者名簿には上記の内容を記載し、確認書類をコピーして添付し従業者名簿ファイルを2冊作ってファイル綴じにしておきます。

また、電磁的方法により記録されたもので、必要に応じて直ちに表示することができる場合は、当該記録を従業者名簿に代えることが可能です。

深夜営業の禁止事項

深夜営業では、禁止事項の違反に対しても厳しい罰則があるので注意しましょう。

 

【接待行為をすること】

「接待行為」は、そのこと自体を深夜営業で行ってはいけません。具体的に言うと、通常の飲食店で行う接客行為、例えば来店時に客席まで案内するとか、注文を取る、給仕をするといったこと以上の会話やサービスは禁止となります。客席に同席してお酌をしたり、カラオケでデュエットしたりということはすべて接待行為に当たります。接待行為をする場合は、別に「風俗営業許可」が必要なので、この許可がなければ無許可営業として摘発されてしまいます。

 

【深夜0時以降に顧客に遊興させること】

深夜0時以降は、顧客に「遊興させる」行為は禁止です。「遊興させる」とは、店側が顧客に対して積極的に遊興を促すことを言います。具体的には顧客にカラオケをすすめたり、ビンゴ大会を開催したりといった行為です。ただし、顧客同士がカラオケをすすめ合うなど、自発的に何かをすることが禁止事項に該当することはありません。

 

【夜10時以降の18歳未満の者に対する禁止事項】

夜10時以降に、18歳未満の者に客に接する業務をさせることは禁止です。従業員側が年齢を詐称していたとしても、雇用側には確認義務・雇用責任があるので「知らなかった」では済まされません。また顧客としても、夜10時以降に18歳未満の者を店に立ち入らせることは禁止です。ただし、保護者同伴であれば可能です。

 

【20歳未満の者に対する酒類やたばこの提供】

20歳未満の者に対して酒類やたばこを提供してはいけません。深夜営業にかかわらず、日本の法律では当然のことです。

 

【客引き行為をすること】

店外での「客引き行為」は禁止です。客引きのために進路に立ちふさがる、つきまとう、など一切してはいけません。ただし、適正な手続きを取った上での路上でのチラシ・広告入りティッシュ配布などはこの限りではありません。営業に必要な集客行為で判断に迷ったら、管轄の警察署に相談しましょう。

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